『それ以外の星たち』原夏見が描く、揺らぐ心と向き合うきょうだいのヒューマンドラマ

コミック・雑誌

※本記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれます。リンク先で購入された場合、当サイトに収益が発生することがあります。

3秒で分かる要約

★★★★☆
おすすめ度
スコア: 4.2/5.0
難易度: 読みやすい

こんな人向け:

  • 恋愛観や人生選択について考える大人
  • アセクシュアリティやジェンダーについて興味がある人
  • 兄妹の関係性や家族との絆を描く作品が好きな人
  • 心理描写が丁寧なコミックスを求める読者
読む目安:2時間

本書の読みどころ

恋愛感情がわからない女性と既婚者の元恋人との再会に揺れる兄。産むリミットと不透明な心を抱えたきょうだいが、柔らかくドラマチックにサバイブする物語です。

本書は第2巻。人間関係の複雑さを優しく描く一冊です。

結論:この本はこんな人に刺さる

どんな本?

30歳の足沢雪は他者への恋愛感情がわからない。偶然の出会いから関係を構築していた相手が実は高校生だったことに気づき、連絡を絶つ。

一方、雪の兄・慶は既婚者となった元恋人との再会で心が揺らぐ。

産むリミットを持った体と不確かな心。きょうだい二人が柔らかに、そしてドラマチックに歩んでいくヒューマン・ラブストーリーの第2巻。

新刊Hubがこの本を紹介する理由

恋愛小説の中でも特に『恋愛感情そのものを感じない主人公』という視点は、多くの読者にとって未知の物語体験になります。産むリミット、過去の恋人との再会、きょうだい関係といった具体的なライフステージの課題を、ドラマチックながらも優しく描く作品は、現代の生きづらさを感じる30代世代に強く響く作品です。

双葉社からの期待作であり、続巻という信頼感もあります。

あらすじ

足沢雪は30歳。自分が他の人たちと同じように恋愛感情を持たないことに長く気づいていた。

ある時、偶然知り合った相手と少しずつ関係を深めていくが、その人が高校生だったことを知る。当然、連絡先をブロックする。

兄の慶はというと、既婚者へと変わってしまった元恋人との再会で心が穏やかでいられない。自分たちの人生選択、時間の経過、愛する人との距離。

産むか産まないか、その身体的なリミットも迫る中で、二人は模索を続ける。柔らかく、そしてドラマチックに、不透明な心と向き合いながら歩んでいく――

この本の魅力

魅力① 恋愛感情を持たない主人公という視点の新しさ

足沢雪が「他者への恋愛感情がわからない」という設定は、多くの恋愛小説では脇役でしか語られない葛藤です。本作はそれを主軸に据えることで、一般的な恋愛観では測れない人間関係の形を丁寧に描き出しています。

自分と異なる感情体験を持つ他者を理解しようとする過程は、読者自身の人間関係観も問い直させる力があります。

魅力② きょうだい関係を通じた複数の人生選択の見せ方

雪と慶のきょうだい二人が、それぞれ異なる形で人生の選択肢に直面しています。産むリミット、過去の恋人との距離、現在の人間関係。

一つの選択が正解という単純な構図ではなく、揺らぎながらも歩み続ける現実を描くことで、読者の中にある『こうあるべき』という枠を優しく揺さぶります。

魅力③ 柔らかさとドラマチックさの絶妙なバランス

登場人物たちの心理が細やかに描かれながらも、人生の大事な局面では劇的さが伴います。優しく丁寧な筆致で、それでいて読み手の感情を揺さぶる構成は、原夏見の実力が光る部分です。

完璧な結末ではなく『これからも続いていく人生』という現実感が、読後に静かな納得感をもたらします。

公開情報から想定できる読書体験

本作は『正解のない人生をどう歩むか』という問いを、きょうだい二人の視点から優しく、時にドラマチックに描いています。恋愛小説というカテゴリーながら、現代を生きる大人たちが直面する実際の困難とその向き合い方に焦点が当たっています。

読み終わった時、登場人物たちの選択を共に考える時間が生まれます。

こんな人におすすめ

  • 恋愛感情の多様性を考える契機を求めている人
  • 30代以上の大人の人間関係や人生選択を描いた作品が好きな人
  • 心理描写が丁寧で、複雑な感情を言語化した作品を読みたい人
  • 第1巻を既に読んでいるシリーズファン

読む前に知っておきたいポイント

本作は恋愛小説ですが『恋愛して幸せになる物語』というより『人間関係と向き合い続ける物語』です。期待値としては、複数の視点から人生の選択肢が揺らぐプロセスを丁寧に読むスタイルが向きます。

劇的な展開よりも、心理描写の細やかさや人間関係の微妙な変化を味わう作品のため、テンポの速さを重視される方には少し物足りないかもしれません。第2巻のため、可能なら第1巻からの読了をおすすめします。

著者について

原夏見

2016年に講談社主催新人賞にて、小川彌生賞&雲田はるこ賞をW受賞し同年デビュー。代表作に『彼女たちの式典』(双葉社)、『タカセコーヒーと私』(講談社)など。

出典:版元ドットコム

それ以外の星たち

それ以外の星たち

著者原夏見
出版社双葉社
発売日2026年9月17日
価格750円+税
ページ数176ページ
判型B6判
ISBN9784575340150

類似作品

『火花』や『騎士団長殺し』のような、複雑な人間関係と心理を丁寧に描く現代文学が好きなら、本作の繊細な筆致がきっと響きます。また『ちょっと今から仕事やめてくる』のような大人の生きづらさを描く作品の愛読者にもおすすめできます。

購入する

産むことと恋愛と人生の選択について考えさせられる一冊。本作に興味を感じたら、ぜひ手に取ってみてください。

オンライン書店で購入

コメント

タイトルとURLをコピーしました